42、引き渡し後におけるリスク(瑕疵担保責任の有無、付帯設備表の内容)

引き渡し後にトラブルになることはあります。
私の場合は嘘でもなくいまだに一度もありません。
ですが
シロアリ被害ある物件
・傾いてる物件
再建築不可の物件
前面道路に接道していないけど家は建てられる物件
など取引したことあります。
買主に伝えていなければ全て裁判沙汰になって私が負けるケースです。
でも問題なく笑顔で取引終えています。

「しっかりと良い所も悪い所も相手に伝える」
のを意識してるからです。
当たり前の事なんですが、この当たり前が非常に難しい業界でもあります。
「不動産 トラブル」
と検索するとおそらく山ほど出てくると思います。

買主がしっかりとリスク、問題を理解していればトラブルは起きないんです。
ただ買主は皆考え方違いますし、見るポイント、気になるポイントも皆違います。

売却する際に強く意識しているのは
「買主が気になるポイント、トラブルになりそうなポイントを最初から見つけて、相手に提示する」
です。

物件を見させていただいたり、お話お伺いしていると
「あ、これは早めに買主に伝える情報だな」
とかわかるんですね。
人間ほとんどの人がそうだと思うんですが
「先に知っていたのなら納得いく」
「ぎりぎりのタイミングでいきなり不都合なこと知らされたら怒る」
「取引終わった後に不都合なことを知ったら許せない」
になるんです。

トラブルの1番の原因は
「感情」
です。
色々見ていますが、ほぼこれに尽きるかな・・・と思います。
(そこまで家とかマンションって傾く事ないんですよ笑。
誰でもわかるような不動産の欠陥ってそこまで多くないんです。)

なので良く書いてますが
「素直に自分が知っている不動産の情報を教えてください」
とよく言います。
マイナスポイントは出来れば早いうちに全部知っておきたいんです。
その内容を早めに買主に伝えるほうが経験上高く売れる可能性が高くなりますし、その後もトラブルになる可能性がほぼなくなります。

ただ売主さんに悪意がなく、引き渡し終わった後に出てくる問題があるんですね。
「瑕疵」
という言葉なんですが、民法上の規定だと
「瑕疵を知ってから1年以内に売主は修復しなくてはいけない」
という文面があります。
言い方変えるとこの言葉はある意味
「一生責任負え」
なんです笑。
知ってから1年なのでね。
買主は50年後に気が付くかもしれません笑。
※現在は民法改正により瑕疵担保責任は
「契約不適合責任」
となりました。

この瑕疵の言葉だとまずいので宅建業法では
「瑕疵担保責任」
という言葉があります。
主に不動産業者が縛られる言葉なんですが
「不動産会社の売主は2年間の瑕疵担保負わなくてはいけない」
という法律があるんです。
なので不動産販売している会社は個人の方が買う不動産を2年間保証しなくてはいけないんです。
(シロアリ、地盤、屋根の雨漏りなどです、食洗器とかの「物」は保証外です)

個人の方の場合の瑕疵担保責任は
「自由」
なんです。
業界の慣習や大手不動産仲介が自分たちで取り決めしてるルールなどから
「瑕疵担保責任2、3か月は売主がつけなくてはいけない」
というケースが多いんですが、宅建業法上は個人間の売買の場合は瑕疵担保責任つけなくてもいいんです。
これを知らない売主さんも多いので書きました。

不動産の取引は長年やっていますが
「100%これで安全ですよね」
と言われても
「100%の安全は保障できません」
と言うしかないんです。

周りから聞いたケースですが、瑕疵担保を付けたことにより引き渡し後売主が支払う必要があったケースとして
・ガラ(コンクリートのブロック)
・土壌汚染
・杭が埋まってるので引き抜く費用
・自転車(すごい埋まってたらしいです笑)

土地の売買のケースで何例か書いてみました。
土地をほじくるわけにはいかないので皆わかんないんです。
何メートルも下の深い部分ですしね。

ほとんどのケースは土地の売買の場合でも特に買主から連絡も来ることなく無事取引が終わります。
ただこういう可能性もあるんです。

売主さんがこういう
「想定外のケースによる出費」
を理解しているのなら問題ありません。
良い値段で、良い条件での買主の購入希望。
ただ買主側が
「瑕疵担保必須」
というのは不動産業者が買主の場合ほぼこの条件がついてきます。

でも嫌な方もいると思います。
私は
「嫌派」
です笑。
そういう場合は最初から
「瑕疵担保免責」
という条件での売買にするのも良いかと思います。
瑕疵担保ある場合よりも売却価格下がる可能性ありますが、良い意味で取引終了後は
「売ったんだからもう関係ない」
という立場になれます。
(私が個人の不動産売った時は瑕疵担保免責での取引です)

ケースバイケースなのですが
「買主は瑕疵担保必須」
「売主は瑕疵担保免責が希望」
などの場合は落としどころとして
「瑕疵担保責任は総額最大200万円までを売主の負担とする、それ以上は払わない」
とかの文言入れて取引まとめるケースもあります。

この話はなかなか難しいので、お会いした時に説明するようにしています。
ただ
「築10年以内の中古マンション、中古戸建」
の場合は瑕疵担保つけなくちゃいけない雰囲気になることが多いです。
築10年以内で瑕疵担保付いてないケースだと紹介する不動産屋から見て怪しく見えるんですね。
「なんでこの物件瑕疵担保免責なんだ?」
と。
「傾いてんのか?」
「事件でもあったか」
と思うんです。
私も正直そう思っちゃいます。

1番納得いく方法を選んでください。
その説明はしっかりします。

また付帯設備表ですが、付帯設備も瑕疵担保責任と同じで
「引き渡し日から1週間売主が保証する」
という文言入ることが多いです。
瑕疵担保と同じですが、宅建業法上個人の売主が保証する義務はないので
「付帯設備に書いてあるものは保証しません」
とすることも出来ます。
住んで10年以上経過している物(キッチン、風呂、換気扇、エアコンなど)がある場合は保証するのではなく
「保証しない」
または
「全部こちらで撤去する」
とかの方が良いかな、と思います。

意外とここもめるんです。
保証の意味は
「修復」
になります。
「新品を交換する」
という意味ではないんです。
「中古の物を修復するのが売主の責任」
なんですが、買主からすると壊れたので新しいのに取り替えた、そしてその代金を請求する・・・
話が違うんですね、買主も売主も笑。
売主「修復代金は払うよ、でも新品は話が違う」
買主「壊れてしまって生活にすぐ必要、そしてこんなにすぐ壊れたのは売主が騙してたからだ、だから代金売主払え」
と。

これに似たケースでもめることが多いです。
なので付帯設備表記入するときは気を付けてください。
悪意がなく善意で買主の為にエアコンそのままにしていた売主さんが、引き渡し後買主から
「すぐ壊れた→撤去に金かかった→騙された」
となる世界なんです。

こういうことがよく起きるんですね・・・
だから不動産仲介がいるんです。
「仲介」
という言葉はよくできてるな・・・と思います。
「仲を介す」
間に1人いると上手く行くことってあるんですね。
それはこの仕事していて本当によく思います。

今回の内容は難しいと思います。
お会いした時は丁寧にご説明いたします。
売ることも大事ですが、売った後のことも大事です。
そういうところまでちゃんと考えながら仕事しております。

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