スルガ銀行不正融資(不動産投資、住宅ローンを借りてる人へ)

2018年4月18日

2018年4月17日のニュースで
「中古マンション投資でも不正続発 スルガ銀融資に絡み」
というニュースがヤフーのトップニュースに出てきました。
数か月前からのシェアハウス不正融資
(スマートデイズ社のかぼちゃの馬車案件、15日には破たんの会見やってましたね)
が社会問題になったせいかと思いますが、スルガ銀行に金融庁が調査に入ってるようです。
その過程で今回の
「不正続出」
という言葉が出てきたのだと思います。

今回書こうと思ったきっかけは朝日新聞の記事がきっかけです。
↓4月17日朝日新聞より抜粋

「シェアハウス投資で地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)の融資の過程で不正が発覚した問題に関連し、中古マンション投資でも不正が相次いでいることがわかった。会社員らがマンション1棟を買う際、不動産業者に託した融資書類が改ざんされ、融資条件に合うように見せかけられていた。金融庁はシェアハウス問題で同行に立ち入り検査に入ったが、マンション投資の不正も問題視される可能性がある。

 不正がわかったのは、地方の中古マンション1棟を丸ごと買う投資。全国で多くの不動産業者が、自己資金ゼロで購入できる、と会社員や医師らを勧誘した。1棟あたり1億~2億円台の購入資金は、スルガ銀が年利4%前後、約30年のローンで貸す例が多い。

 この融資の過程でも不正が多いことが朝日新聞の取材でわかった。会社員らは預金通帳コピーなどを業者に託し、スルガ銀への融資手続きを任せた。その際、預金残高を多くするなどの改ざんがあった。スルガ銀の融資条件に合わせて貯蓄が多いように見せかけて、多額の融資を受けた。誰が不正を主導したかは不明だ。」

この中で
「誰が不正を主導したかは不明だ」
という文面に突っ込みたくなって今回の記事を書いています笑。
また現在スルガ銀行で融資を受けている方は不安に思う方も多いのではないでしょうか?
銀行の立場、不動産屋の立場、スルガ銀行でローンを借りている方の立場になって書ける範囲でですが色々書いていこうと思います。

まず以前にも書きましたが、スルガ銀行は私は嫌いではありません。
今は問題になっているので融資がストップしてるような気がしますが、昔から
「困った時のスルガ」
というのが不動産仲介の一つの合言葉でした笑。
それくらい最後の砦と言いますか、
「スルガ銀行で融資が出来なかったらもうローンを組めるところはない」
と言い切れるくらいの金融機関でした。

スルガ銀行の担当者もローンのノルマ(目標融資額)が成績に絡むせいか、皆頑張り屋さんでした。
一人だけすっご~~~~~く嫌な人がいたのは覚えてます笑。
(まあ・・・組織なので仕方ないですし、どこでも嫌な人はいるもんですしね)
「融資を自分に持ってこないやつは人間じゃない」
みたいな態度の支店長の次くらいのポジションにいる人でした。
こういうタイプが銀行で出世するんだろうな・・・と思ったことを10年以上前の話ですが、久しぶりに思い出しました。

時代にもよってそれなりに違うかと思いますが、スルガ銀行の融資のパターンとして
・諸経費は自己資金
・融資価格は9割まで
などのルールがあったりします。
ここでお客さん(買主)の立場になってみましょう。
もう買主は他の大手金融機関、地方銀行、信金を全部当たったうえで融資が断られています。
理由としては
・属性(年収、勤め先)
・借入額が既に多い
・エリア対象外
・自己資金がない
などが理由です。
その中でも1番多いのは
「自己資金がない」
というところなんですね。

この後の話題について書く前に書きておきますが、私は不正融資の手伝いしたことないですよ笑。
だから書けますし、あまり詳しい話題がネットに出ていないのは、不動産仲介業に関わる人で長くやっている人なら皆知っているのですが、不正融資が行われている話はどこでもよく聞きます。
なので今回のニュースを見るとお客さんで不正融資を受けてローンを借りている人が不安に思ってる人も多いのではないのかな、と想像しました。
思うよりもかなりの人数が関わっているのは長年現場にいるのでよくわかります。
余談ですが先日購入のお客さんで
「ローンを組めない、でも他社なら偽造してくれるからそっちで買おうと思ってる。
御社は偽造を手伝ってくれるのか?」
と直接言われました。
当社の立場は明確で
「私文書偽造になるので出来ません、犯罪なので」
と言いました。
その方は他の会社に行ったんだと思います。
お金にはなりませんが正しい事していると我々は思っています。
「偽造してくれない不動産屋なんだ、使えないな」
と思われたと思いますが、そこは仕方ないことです。

業界長くやってはいるので、不正に融資を受ける方法は知ってはいます。
不正融資の方法としては結構単純で
・売買契約書の金額を偽造
・預金通帳を偽造
・そのほかの領収書を偽造
などです。
(一昔前は源泉徴収票を偽造してるとかの話も聞きました)

先ほど書いたスルガ銀行のルールとして
・物件価格の9割
というケースに当てはめてみましょう。
仮に3000万円の物件がお客さんが欲しい。
自己資金が全くない。
でも年収は勤め先などのおかげでローンは組める。
このような場合は9割の融資額の場合だと2700万円になります。
諸経費が約250万円。
そうすると自己資金が550万円必要になります。
当然ながらお客さんは自己資金がありません。
そのような場合に売買契約書を偽造するんですね。
そうすると売主との売買契約書は3000万円のまんまなのですが、銀行提出用の売買契約書は
「3600万円」
で提出するんです。
そうすると融資の9割の3240万円を貸してくれるようになります。
そうすればお客さんの感覚としてはフルローンで借りることが出来ます。

さてこの場合のケースですが、銀行は知っていたでしょうか?
それとも不動産屋は知っていたでしょうか?
お客さんは知っていたでしょうか?
・・・普通の人の感覚からすれば
「全員グルだ」
となります笑。
当たり前の話ですよね。
じゃあここから金融庁の立場になってみましょう。
そして不動産業者を法律で縛る宅建業法の気持ちになってみましょう。
読んで頂いてる方もみなさんお仕事されてると思います。
人間の記憶は曖昧ですし、忘れていくものです。
なので皆なにかしら将来の為に
「証拠」
となるものを書類なり、メールなりで残すのが基本です。

今回の場合はどうでしょうか?
スルガ銀行の立場からすると、契約書は貰っています。
「その契約書に書いている金額を信じた、だから騙された」
という立場が取れます。
次に不動産屋の立場です。
書類を偽造していることについては認識はあります。
そして認識があるからこそ、証拠にあえて残していないんです。
(悪い不動産屋は怖いですよ)
不動産屋からすると残っているのは宅建業法上問題ない、買主と売主が取引した証拠である
「3000万円の売買契約書」
なんですね。
3600万円の契約書の事は知らないし、記憶にないんです。
この辺はしたたかなんですよ。

最後にお客さんの立場になります。
お客さんはおそらくですが税務署に対して
「3000万円の売買契約書」
を提出しているはずです。
そして融資を受けた金額はスルガ銀行からの根抵当権3600万円が登記簿謄本に記載されていると思います。
結論から言いますと証拠と言う部分では買主であるお客さんがはっきりとおかしな証拠を持っていることになるんですね。

ただ現実的には個人の人の融資金額と税務署との関連性をいちいちくっつけて確認するような事はしないと思います。
時効もあるかと思いますし、書類の保存期間もたしか年数が決まっているはずです。
1番怖いのが、スルガ銀行が金融庁からみせしめのように突っ込まれて、最終的には
「違反したローンの案件は一括返済を求める」
みたいなケースになることだと思います。
「オーナーチェンジ」
の記事にも書きましたが、銀行は本当にあっさりと
「それじゃ一括返済お願いします」
と言ってくることはこの耳で確認済みです。

1番良いのは
「借り換え」
だと思います・・・がスルガ銀行で借りてるほとんどの案件は担保評価が出ないと思います。
だからこそ皆さんスルガ銀行で借りているわけですしね。
不動産投資の場合ですと積算評価は常に大きく変わります。
景気が良い時は高いですが、景気が悪くなると下がるのが積算評価、収益還元の評価の仕方です。
昔の積算価格と同じ金額で考えない方が無難です。

銀行、不動産屋、お客さんの立場で自分なりにですが書いてみました。
インターネットと言う全世界に見られる媒体なので、正直書けない事の方がほとんどです。

今後ですが、日本の不動産市場を陰でひっぱってきたスルガ銀行の融資が出来なくなっていく可能性が高くなりそうです。
シェアハウスのような特別な不動産や、大手銀行、信用金庫が扱わない物件の価格は下がっていく可能性が高いと思います。
それくらいスルガ銀行は他の金融機関がやらない案件を積極的にやっていました。

こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが・・・
「シェアハウスやらなければよかったのにな・・・」
とスルガ銀行に対して思います。
よくないこと更に言いますが、スルガ銀行が関わった案件で買主さんがしっかりと理解している場合は
「融資が出来て銀行嬉しい、物件買えて買主嬉しい、物件売れて売主嬉しい、取引出来て手数料もらえて不動産屋嬉しい」
というある意味ですよ笑。
ある意味理想的な取引はしていたんです。
10数年前からスルガ銀行知っていますが、潰れてませんしね。
途中からゆうちょ銀行の取引もスルガが関わるようにしてブランド力あげようとしてたのも知ってますしね。

ただ結果がこうなってしまいました。
だとすると関わってる人はなにかしら勉強なり対策が必要です。
当社の場合はHPに書いてあるように不動産の売却を行っています。
住宅の場合は東京都と埼玉県が対象です。
収益物件の場合は関東全部対応できます。

スルガ銀行との抵当権抹消の話し合いなどもこちらで出来ます。
話したくない方もいるかと思いますしね。
その辺は不動産屋が間に入るとスムーズな事も多いです。

売却のご相談あればお気軽にお問い合わせください。
色々と融通の利く話しやすい不動産屋です。

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