お笑い芸人と闇営業と不動産と反社会的勢力について

2019年7月2日

ここ最近
「お笑い芸人の闇営業」
について毎日ニュースがやっています。
その中で不動産屋(賃貸営業)をやっているお笑い芸人がいて解雇となりました。
(あの人たちのネタ好きだったんですけどね。
「右ひじ、左ひじ」

「このダンスをする~~」
というネタとか)
なんか色々と絡み合って難しい問題ですよね・・・
少しだけですが
「不動産業の立場から見た反社会的勢力への対応」
も絡んでくるので色々と書いていこうかな、と思います。

3,4年前になりますかね・・・
不動産の契約書の中に
「反社会的勢力」
に対しての文言が追加されました。

↓内容
(反社会的勢力の排除)
第19条 売主及び買主は、それぞれ相手方に対し、次の各号の事項を確約する。
① 自らが、暴力団、暴力団関係企業、総会屋若しくはこれらに準ずる者又はその構成員(以下総称して「反社会的勢力」という)ではないこと。
② 自らの役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう)が反社会的勢力ではないこと。
③ 反社会的勢力に自己の名義を利用させ、この契約を締結するものでないこと。
④ 本物件の引渡し及び売買代金の全額の支払いのいずれもが終了するまでの間に、自ら又は第三者を利用して、この契約に関して次の行為をしないこと。
ア 相手方に対する脅迫的な言動又は暴力を用いる行為
イ 偽計又は威力を用いて相手方の業務を妨害し、又は信用を毀損する行為
2 売主又は買主の一方について、次のいずれかに該当した場合には、その相手方は、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。
ア 前項①又は②の確約に反する申告をしたことが判明した場合
イ 前項③の確約に反し契約をしたことが判明した場合
ウ 前項④の確約に反した行為をした場合
3 買主は、売主に対し、自ら又は第三者をして本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供しないことを確約する。
4 売主は、買主が前項に反した行為をした場合には、何らの催告を要せずして、この契約を解除することができる。
5 第2項又は前項の規定によりこの契約が解除された場合には、解除された者は、第18条第2項の規定にかかわらずその相手方に対し、違約金(損害賠償額の予定)として標記の違約金(I)(売買代金の20%相当額)を支払うものとする。この場合の違約金の支払いについては、第18条第3項に準ずるものとする。
6 第2項又は第4項の規定によりこの契約が解除された場合には、解除された者は、解除により生じる損害について、その相手方に対し一切の請求を行わない。
7 買主が第3項の規定に違反し、本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供したと認められる場合において、売主が第4項の規定によりこの契約を解除するときは、買主は、売主に対し、第5項の違約金に加え、標記(J)(売買代金の80%相当額)の違約罰を制裁金として支払うものとする。この場合第18条第4項の規定にかかわらず、買主は本物件の所有権移転登記の抹消登記手続き、及び本物件の返還をしなければならない。

簡単に言うと
「反社会的勢力が家を買って、そこに住んで何かしら悪いことした場合は売買代金の100%が違約金。
そして買った不動産も返す」
という文言です。
もっとわかりやすく書くと仮に5000万円の家を購入した場合は
「違約金として5000万円払う、そして買った家も売主に返す」
という内容です。

当時ですが現場はちょい騒然としました。
「反社会的勢力だったらどうする?」
「確認する方法は?」
「そもそも誰が取り立てるんだ?」

皆方法がわかんないんですね。
そして最近はある程度確認の仕方が落ち着いてきました。
・本人に「反社会的勢力ですか?」と確認する
・書面で「反社会的勢力ではない」という署名をしてもらう
・契約書に違約金100%の文言を書く
会社によって多少やり方は違いますが、この3点を求める会社が多くなりました。
(この文言が出来てからはお客さんに毎回
「反社会的勢力ではないですよね笑?」
と聞いています。
一応聞かなくてはいけないんです。
今の所一人も
「実は・・・」
と言う方はいません笑)

実際問題としてですが、我々からするとお客さんが反社会的勢力なのか、そうでないのかの100%確証はわかんないんです。
正直な所そう思います。
ただ
「そういう可能性ある人と関わらないようにする可能性は上げられる」
とは思っています。

長年不動産業やってて取引の中で危険な可能性があるのは
・賃貸
・不動産投資
・不動産ブローカーが絡んでる案件
・中間省略の取引
・本人が出てこない取引
・切れやすいお客
・多額の現金を持っている、その経緯が不明
・嘘つく人
などです。

賃貸に関してはおそらく
「わかんない」
と思うんですね。
売買ほど接客に時間かけませんし、個人情報に関する書類なども売買に比べると少ないです。
運が悪いと・・・可能性はあるだろうな、と思います。

不動産投資は・・・怪しいやつ多いんです笑。
「金」
を求める人が多い業界なのでお金に群がってくる可能性が高い。
それなりに不動産投資の業界にはいたので、色々とわかります。
そういうのもあり基本住宅メインの取引になりました。

不動産ブローカー・・・って結構いるんです。
どういう人なのかと言うと
「会社に所属していない、金になる情報を探している」
みたいな人です。
正直怪しいんです笑。
この話は長くなるのでいつか書くかもしれません。

中間省略の取引は、あまり聞きなれない言葉だと思います。
簡単に説明すると、仮に
「私の友人が土地を売ろうとしてる、私がその情報を知った。
そして知り合いの会社に話をもちかける。
友人の土地の売却金額が3000万円、会社が買う金額が4000万円、その差額の1000万円を私がもらう。
そして私が普通に買うと登記費用などがかかるので、登記はしない」
ちょい難しい話です。
もっとわかりやすく言うと
「登記簿謄本上は私の友人から知り合いの会社に所有権が移転した」
となってるんです。
間にいる私は登記簿に記載されていません。
中間である私を省略してる、なので
「中間省略」
と言います。

少し前のスルガ銀行のニュースがある前はこのような取引が多かったですね・・・
なんとなくですが読んで頂いて
「怪しいな」
と思いませんか笑。
当社は中間省略する人たちとは付き合わない、と決めてます。
深刻なトラブルになりやすいんです。

本人が出てこない取引はそこそこあります。
ただ仕方ない理由もあります。
「病気」

「年齢」
などで動けない方がいるのも事実ですしね。
そういう場合は
「話の整合性」
が大事です。
色々と聞きとっていって、こちらから見ても大丈夫そうでしたら対応しています。

逆に
「出てこない理由がわからない、怪しい」
と言うケースも時々あります。
そのような場合は申し訳ないですが対応できないです。
(地面師とかかもしれませんしね)

切れやすいお客はいます。
こう言う方も対応しないようにしてます。
危ないんですね、色々と。
普通に人として怖いです。

多額の現金を持っている、ですが以前はそれほど気にしませんでした。
というのも
「反社会的勢力」
の文言がなかったので。
最近はある程度は聞くようになりました。
(お客さんが売却する際にはこのような買主の情報をしっかり確認してから契約に進んでいます。
お客さんの見えない所で色々とやってるんですよ笑。
仕事ぶり伝われば、と思います)

嘘つく人は・・・本当に危ないです。
その後も嘘つく可能性が非常に高いですし、実際に不動産業者、お客共に過去にいました。
不動産売買の取引の場合は時間がかかります。
契約書はもちろんありますが、口頭でお話しすることも多いです。
「前言っていた話と違う」
となると大問題が起きます。
逆ギレする方もいますしね・・・
怖いな・・・と思います。

「怪しい匂い」
というのはやはりあります。
こればかりは経験値ですね・・・
100%はどうしても無理ですが、100%に近づけるように努力はしています。

話戻しまして、今回のお笑い芸人の闇営業と不動産についてです。
業種柄難しかったんでしょうね・・・
お金は大事ですし、生きていくのに必要です。
ただ
「嘘」
は良くないと思います。
このHPにもよく書いていますが
「嘘はつかないでください」
と書いています。
人は嘘つかれると、その後信用しなくなります。
不動産の場合は超高額です。
そして違約金などの金額も設定されています。
土地やマンションや戸建てなどに不具合があったりするのは仕方ない事なんです。
そう言った事実を
「先に言うか、後に言うか」
でその後の結果が大きく変わります。
なんか今回の
「実は・・・」
「嘘ついていました・・・」
というニュースは不動産のトラブルの感情論とよく似てるな、と思いました。
取り返しは・・・つなかいんですよね・・・

それとお笑い芸人が不動産屋をやっていたのは私も以前から知っていました。
「頑張ってんな」
と同業として思ってはいました。
ただ今回のトラブルで解雇となっています。
不動産屋の意見ですが
「まあ・・・しゃーないだろうな・・・」
が率直な感想です。

不動産業には
「宅建業法」
を言うのがあります。
民法でかばいきれない内容を宅建業法でカバーしているんですね。
(一つ例を挙げると
「瑕疵」
があります。
民法上だと瑕疵は
「瑕疵を知ってから1年以内に請求できる」
という民法があります。
これを不動産に照らし合わせると
「中古の家を買った、40年後突然崩壊。買主は
「そうだ、これは瑕疵だ、不動産の売主に請求しよう」
という事も出来る可能性があります笑。
売主からすれば40年前の話です。
「いやいやいや・・・」
と思いますよね。
こういう時の為に宅建業法があるんです。
(宅建業法だと不動産の売主の瑕疵担保は2年まで)」

宅建業法の中に
「違反した時のペナルティ」
と言うのがあります。
(最近だとTATERUが業務停止処分になりましたね)
業務停止処分だと不動産の取引が出来なくなります。
また悪質だと免許停止にもなります。
不動産屋にとっては死活問題です。
なので皆すご~~~く気を付けるんです。

ただ私も細かく調べていませんが
「反社会的勢力関係の違反」
はまだないような気がするんですね。
(詳しく調べればあるかもしれませんが・・・)

というのも先ほど書いたように反社会勢力についての文言が出来たのが3,4年前です。
私の知る限り違反した会社は知りません。
「取引した後で反社会勢力だとわかった」
というのはあると思います。
ただしっかりやっている不動産屋だったら最初に書いた
・本人に「反社会的勢力ですか?」と確認する
・書面で「反社会的勢力ではない」という署名をしてもらう
・契約書に違約金100%の文言を書く
はほぼしてると思います。
そこまでやった上で不動産屋が処分されたら・・・我々もどうしようもないっす笑。

その上で今回のお笑い芸人のケースに置き換えてみます。
「・・・・正解は何だろう?」
と思いました。
というのも
・不動産取引は反社会的勢力としていない(たぶん)
・お笑い芸人(副業)として反社会的勢力から金銭を貰った

おそらくなんですが、このお笑い芸人は
「固定給+歩合」
または
「フルコミッション(完全歩合)」
のどちらかだったんだと思います。
たぶん完全歩合な気がするんですよね・・・
HPがあるみたいで、その費用はおそらく芸人が出していたのではないのか・・・
そうするとそのお金の一部は反社会勢力のお金・・・
という可能性もあります。

考えていくとわかんないんですね。
だから
「解雇」
という手段にもなったんだと思います。
(こういうケースがあるので不動産の採用は難しい所もあります)

話題が多くなり長くなってしまいました。
今回のニュースで思うのは
「今までも気を付けていたけど、今後も油断せずに気を付けていこう」
と改めて思いました。

読んで頂いた方の参考になれば幸いです。

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