パークシティlala横浜の傾き、三井不動産の対応など
2015年10月15日
昨日は10月14日(水)だったので不動産業の私は家で休んでおりました。
そんな中何気なくスマホを開いてヤフーのトップページを見ると
「横浜市の大型マンション傾く」
と言う文字を発見。
休みの日はスイッチをオフにしているので出来る限り仕事について
考えないようにしているのですが、記事を一通り読んでしまいました。
簡単にまとめると
「横浜市にある【パークシティlala横浜】の全4棟のマンションの1棟に
傾きを発見。傾いた棟にある杭の一部が支持層に到達していなかった。」
と言う内容になります。
販売会社 三井不動産レジデンシャル
施工会社 三井住友建設
※支持層とはN値(エヌチ)50という硬い地層が5m連続する層(支持層という)
を見つけること
業界10年以上やっていますが、2、3年に1回ぐらいの割合で社会問題レベル
の不動産問題が出てきます。
過去には
・姉歯建築士の構造計算偽装問題、それに伴うヒューザーのマンション
・アーバンエステートの倒産による手付金、中間金が戻ってこない問題。
更に未完成物件のままの放置
などがありました。
当時もお客さんから
「このマンションは大丈夫なのか?」
「この新築物件の売主は大丈夫なのか?」
と毎回のように聞かれましたね。
今でも上記の話題を覚えている方は多いのではないでしょうか?
この後に法律が改正されて
住宅瑕疵担保履行法
住宅瑕疵担保責任保険
検査済証(完了検査)
などが出来たんですね。
(ただ住宅瑕疵担保履行法は平成20年以降の法律だったり、新築マンションという
ジャンルは不動産仲介は関われないので詳しいことは調べないとわかんないです。
新築戸建の場合は上記に書いたような供託や保険という義務化した法律があり、建物が傾き、その後に
売主が倒産したとしても補償してくれる制度になっています。
昔はこのような制度はなかったので現在新築戸建購入する人は
「良い時代になったな」
と心から思います。
こういった法律の改正などもあり、新築戸建専門の
「ゼロさいたま」
という仲介手数料無料の専門サイトを作ったんですよね。)
話戻しましてこの傾きの記事を見たときに
「本当に気の毒だな・・・」
と思いました。
まずパークシティシリーズは私も知っていますが非常に良い印象のマンションです。
埼玉県の場合だと
■パークシティさいたま
■パークシティ大宮 ビューコート
詳細情報→パークシティ大宮 ビューコート
■パークシティ大宮 サザンコート
詳細情報→パークシティ大宮 サザンコート
■パークシティ大宮 セントラルタワー
詳細情報→パークシティ大宮 セントラルタワー
■パークシティさいたま北 アークレジデンス
詳細情報→パークシティさいたま北 アークレジデンス
■パークシティさいたま北 ガーデンレジデンス
■パークシティさいたま北コートレジデンス
詳細情報→パークシティさいたま北コートレジデンス
■パークシティ白岡(イースト・センター・ウエスト)
■パークシティ南浦和
などがあります。
パークシティさいたま北は当社からも近く、つばさ小学区で非常に良い所です。
また過去にパークシティ大宮セントラルタワーの30階に行き眺めを見ましたが、
非常に良かったです。
2011年の地震後でしたが、地震の時の状況をお伺いすると
「たいして揺れなかった。金魚の水槽もこぼれなかった」
と仰っていましたね。
エレベーター降りて1階の敷地部分は静かな環境で、基本的に住民しか
歩いていません。
良いマンションだな、と過去に5000から6000件くらい不動産を見ていますが
その中でも上位に入る不動産でしたね。
(その分近隣の物件より値段は高いです。)
横浜市にある【パークシティlala横浜】も恐らく同じように
良い建物、住居環境、空間だったのではないでしょうか。
ですが今回の
「傾きがあった」
という事実に関しては、正直な不動産の意見ですが今後間違いなく
価値はかなり下がります。
現在はネット全盛の時代です。
現在だけでもネットの記事に大手新聞やテレビ局が記事にしています。
【公表されている記事一覧】
<施工不良マンション>「知ってたら買わなかった」住民怒り
三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の大型マンションで、施工した三井住友建設側が基礎工事の際に一部で地盤調査をせず、虚偽データを使って工事をしていたことが14日、横浜市への取材で分かった。複数の杭(くい)が強固な地盤に届いておらず、建物が傾いた状態になっている。市や国土交通省は事業主の三井不動産レジデンシャルに原因の究明を求め、建築基準法違反の疑いもあるとして調査を始めた。
【↑毎日新聞から一部抜粋】
大型マンション傾く 虚偽データで工事か
問題となっているマンションは、三井不動産グループが2006年に販売を始めた横浜市都筑区の「パークシティLaLa横浜」。横浜市によると、「手すりがずれている」との住民の指摘を受け、今年8月に調査したところ、4棟あるうちの1棟が傾き、隣の棟とずれが生じていたという。
マンションの住民は「資産価値の面とか、安全性の面とか、不安です。どこまで補償を考えているのか、今後どういうふうにしていくのか」と話した。
施工した三井住友建設などが、傾いた棟の52本の杭(くい)のうち28本を調査したところ、少なくとも8本の杭が、想定通りの地盤に到達していなかったという。
【↑日本テレビ系(NNN)から一部抜粋】
横浜市の大型マンション傾く
マンションの住民は、「会社は、落ち度をはっきり認めていますよ。はっきり認めている」、「すごく説明も遅かったし、動きが遅かったと思います。4,000万ちょっとですね。だから、借金もしているので。全体的に補償してもらいたい」などと話した。
販売した三井不動産レジデンシャルは、住民説明会を開き、謝罪する一方、震度7の地震でも倒壊することはなく、緊急を要する危険性はないと説明している。
【↑フジテレビ系(FNN)から一部抜粋】
傾きマンション、杭施工記録に改ざんの跡 旭化成子会社
三井不動産グループが販売した横浜市都筑区の大型マンションで、杭の一部が強固な地盤(支持層)に届いておらず建物が傾斜した問題で、杭の施工記録が支持層に届いている杭のデータと差し替えられていたことが、横浜市などへの取材でわかった。この杭の施工を担当したのは旭化成建材。建築基準法に違反する疑いがあり、横浜市などは調査を始めた。
【↑朝日新聞から一部抜粋】
現在の段階でまだ2日しかたっていませんが、これだけのネット上での記事が
出ています。
よくわからない個人や、無料ブログなどの信ぴょう性のない記事でしたら
たいした被害はありませんが、テレビや新聞関連が記事にする場合は
残念ながら今後この事実が消えることはありません。
再度書きますが本当に気の毒だな、と思います。
私自身も高層マンションに住んでいるので、
「自分のマンションが傾いたらどうしよう・・・」
と真剣に考えてしまいました。
このHPでも以前
「私の不動産は売れますか?」
の中にも書きましたが、傾いている物件を売ったことはあります。
ですが今回のような数百世帯の区分所有マンションの場合ですと、
非常に非常に難しくなります。
もし私が傾いている物件のマンションの住人だったら、という
テーマで少し書いてみたいと思います。
まず必要な物は
・新築分譲時の契約書
・その他の契約書
です。
今回の場合は間違いなく
「構造耐力上主要な部分」
に当てはまります。
そうなると瑕疵担保責任が追及できるのですが、おそらく完成後2年までに
なっていると思います。
住宅の品質確保の促進等に関する法律があるので
「構造耐力上主要な部分は10年保証する」
とありますが、どこまでの保証なのかは皆わかっていないと思います。
過去に三井不動産のような大手が今回のようなケースで保証をしたケースが
ないのでね。
それと
「住宅瑕疵担保履行法」
の前に出来ている建物なんですよね。
新築住宅でしたら自信もって説明できるんですが、新築マンションの場合は
やったことないんでわかんないですよね。
(新築分譲マンションは不動産仲介扱えないんでね)
ここまでの大規模だと話が変わってきます。
ここまでは一般的な考えですが、次に考えるのは
・管理規約
・区分所有法
になります。
単純に傾いている建物を建て替えする場合は5分の4の議決権、
いわゆる
「多数決」
が必要になります。
ここで皆がどう思うかの調整が必要です。
不動産業しているからわかりますが、
「まずまとまりません」
不動産の住居には人それぞれ思いがあります。
すぐに処分したい方、思い入れがある方、お金がない方・・・
もう人それぞれです。
現実的には建て替えになる事はほぼないとおもいます。
それと建て替えをする場合、売主、施工会社と話す場合には
基本管理組合の役員が担当することになります。
ほとんどの管理組合でそうだと思いますが、役員の給料はもう微々たるものです。
そのお金で入居者から様々な意見、怒号、人間関係悪くなるストレス、
あっちをたてればこっちもたてなくてはいけない。
その上に不動産のプロ相手の金銭面での高度な交渉術。
不動産知識+金銭交渉力+民法・業法をかなり理解していないと
話すことは難しいです。
こんな仕事を無給で優秀にやる人は通常いないのが現実です。
次に
「金銭面での賠償・責任問題」
について書いてみます。
まず私でしたら弁護士の所に行きます。
そして過去の判例、損害賠償の判例、いくら支払われたのか?
の確認をします。
場合によっては売主・施工主を話すときに弁護士を立ち会わせるのも
良いかもしれません。
お金は多少かかりますが、素人とプロで話すときには差があります。
こちらもある程度強い味方が必要です。
ただ今回のケースは非常にややこしいのと、三井不動産という
業界の中でも超大手の会社です。
横浜の物件だけでなく、日本全国にたくさんのマンションがあります。
全国のマンションの地盤・杭の検査が終わるまでは不動産業者も
動けないような気がします。
最後に
「責任問題」
ですが、今回は非常にややこしんですよね・・・・・
今回は
販売会社 三井不動産レジデンシャル
施工会社 三井住友建設
杭の施工 旭化成建材
という現在で3つの会社が出てきています。
恐らくですが三井不動産が三井住友建設にお金を払って
施工を依頼。
三井住友建設が杭の施工を旭化成建材にお金を払って依頼。
という図式化と思います。
(昨日の株価は三井不動産が6%前後の株安。
三井住友建設は30%のストップ安)
普通に考えると販売会社である三井不動産レジデンシャルに責任があります。
新築マンション購入時に出てくる担当が三井不動産レジデンシャルですし、
売主なのでね。
ですが不動産業に携わっている私からすると、どうしてももう少し難しい見方に
なります。
人によっては納得いかないと思いますが
「三井不動産も被害者」
という見方にもなるんです。
これは販売と施工を分けている理由にも繋がるんですが、
販売して全ての現場を施工をするというのは現場からするとかなり不可能なんです。
そして三井不動産からすると、施工の杭の部分、更に地盤の専門的な知識、
このような所までは把握できないのが現状です。
こういうことがおきない為にチェック期間はかなり厳重にしているかと思いますが、
人間が何を考えているかまではわかりません。
過去のヒューザーの事件の時もそうですが、大体が
「人災」
が原因の事が多いです。
金が絡んでいたり、納期が遅れると出世に響いたり、解雇に繋がる。
または担当の人間としての安っぽいプライドであったりと・・・・
色々書きましたが、今回の傾きに関してはまだ情報が揃っていません。
恐らく数年は解決しない問題だと思います。
非常に悲しいですが今後もこの件は皆忘れませんし、私のような不動産仲介が
売却の依頼を頂いた時には確実に買主さんに伝えなくてはいけない情報です。
最後になりますが、私が今回の件を長々と文章書いた理由の一つに
「三井不動産の補償・賠償」
について非常に興味があるからです。
過去に社会問題になる不動産売主は倒産してしまい、入居者には補償や賠償も
ありませんでした。
(東洋ゴム工業 免震ゴムのデータ改ざん問題も気になってます)
ですが今回は三井不動産です。
財務諸表がどうなっているかは知りませんが、かなりの体力は
ある会社だと思います。
そして今後補償などの対応を間違えると風評被害がずっと続く事になります。
この辺りのバランスを考えると、入居者からすると満足な補償には届かないが
ある程度の補償は見込めるのではないか・・・・・・
というのが落としどころかと思いますが、それでも間違いなく数年は
かかると思います。
私も自分のマンションが今後
「傾くのか、傾かないのか?」
と聞かれたらわかりません。
そのような確認できる専門知識はありませんし、
どれくらいの費用かもわかりません。
そして管理組合をまとめてマンション住まいの入居者からの
決議権を集めるほどの気力もありません。
なので傾くか、傾かないかは言い方悪いですが
「運」
だとも思っています。
唯一中古マンションが新築マンションに確実に勝てるところは
「過去~~年間傾きもなく普通に住んでいた」
という入居者さんからのお言葉もしれませんね。
私の考えを書いてみました。
これが正式な答えだとも思っておりません。
参考にしてください。
10月16日追記
発覚してから2日ですがかなりの動きになっていますね。
「旭化成建材が別の棟のデータを流用する形で虚偽のデータを記載する。
全国のおよそ3000棟についても、データの偽装などが行われていなかったか調査する予定。
三井不動産レジデンシャルが4棟のマンションをすべて建て替えることを協議」
などどなっています。
過去の不動産事件と比べてもそん色ないくらい大きい問題になってます。
石井国交相、旭化成建材に全物件の調査指示
石井国交相が物件全ての調査を指示した。
石井国交相は、16日の閣議後の会見で、くい打ち工事を行い、データを転用していた旭化成の子会社に対して、工事を行った物件全てについて調査するよう指示を出したと述べた。
↑フジテレビ系(FNN)一部抜粋
旭化成建材が施工の3,000棟の概要公表へ
神奈川・横浜市の大型マンションが、施工不良のため傾いている問題で、子会社がくい打ち工事を請け負っていた旭化成は、これまでに施工を行った全国3,000棟の概要を、近く公表すると明らかにした。
16日朝、旭化成建材の前田富弘社長は、「今、わたしが言えるのは、住民の皆様に非常に申し訳ないなということであります」と陳謝した。
横浜市都筑区の大型マンションが、施工不良のため、傾いている問題。
くい打ち工事を請け負っていた旭化成建材の社長が16日朝、取材に応じ、陳謝した。
一方、15日夜、住民説明会が行われ、三井不動産レジデンシャルの藤林清隆社長が、問題発覚後、初めて住民の前に姿を現し、謝罪した。
↑フジテレビ系(FNN)一部抜粋
昨日も書きましたが今後も長く続く問題にはなります。
居住者の方からは
「素人の僕らが確認できない。買った時の金額で買い戻してもらうことが、一番いい」
「なめていたたらダメですよ、住民を」
「即決していただきたい、この場で、YesかNoか」
「今になって、マスコミに騒がれたから、全棟建て替えますって、買い取りを検討しますと言われたって、信用できないですよ」
などの意見も出ているようですしね・・・・
そして国土交通大臣もこの問題について言及しました。
恐らくですが数年後にはまた建築基準法・または地盤調査・補償・保険に
ついての法律が新しく出来るかと思います。
また建て替えについて言及してましたね・・・・
今回のマンションは4棟の内1棟のみ傾いている・・・・
言い方悪いですが傾いていない3棟の人たちと、傾いている1棟の人たちとの
心の奥底での考え方は違うと思います。
意見を統一させるのは難しいのではないかと・・・・
三井不動産からすると建て替えを提案したらしいですが、過去にこのような事例、
ケースはないと思うので、費用も計画もまだわかっていないと思います。
裁判沙汰になると確実に最高裁までは行くと思うので数年では終わらない話に
なるでしょう。
それは不動産屋も住人も望んではいません。
今後どうなりますかね。
気にかけていこうと思ってます。
(3000棟のマンションの杭の公表がどうなりますかね。
私もマンション住まいなので怖いです)
「旭化成建材の責任について」
「三井不動産パークシティなどの今後の資産価値」
を書きました。
上記のリンクから読めます。
「なかなか売れない」「人が見に来ない」
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