旭化成建材杭打ち、別の担当者もデータ改ざん?

2015年10月29日

11月になったらまとめてマンション傾斜問題について書こうかな、と思ってましたが、
今朝のニュースを見てため息が出ました・・・・・

北海道の公営住宅工事でデータ流用発覚

データ改ざんが、別の住宅でも確認された。マンションのくい打ちデータ改ざん問題で、新たに北海道の公営住宅の工事で、データの流用が見つかった。今回の工事には、神奈川・横浜市のマンションの現場責任者は関わっていないということで、建設工事への不信感が強まるとみられる。

横浜のマンションの現場責任者が関与した建物以外で、データの改ざんが発覚したことで、
3,040件全てに疑いの目が向けられることになった。

↑10月29日(木)フジテレビ系(FNNより一部抜粋

正直な感想ですが
「今後中古マンション取引の上でかなりまずいな・・・」
というのが率直な意見です。
私は不動産仲介業の人間です。
なので杭打ちや地盤調査、データを改ざんの調査、セメントの量、建設業の仕組み、
などについては詳しくありません。
ですが
「実際に不動産取引の現場にいて、購入者、売却する人との金額をまとめる時に
対応するのはいったい誰だ?」
と聞かれたらそれは私達不動産仲介業になりますし、この分野に関しては
完全に専門分野です。

なぜこのような事を書いたのかと言うと以前
「三井不動産パークシティなどの今後の資産価値」
にも書きましたが正式な資産価値が決まるのは、購入者が売却する人に
現金を渡したタイミングになります。
そして不動産の場合は取引が成立するまでにかなりの時間がかかりますし、
かなりの質問が出ます。
「買うのを辞めるのは非常に簡単だが、買うのは難しい」
不動産売買に携わる人はこの言葉の意味をよくわかっています。

さて、今回の
「横浜のマンションの現場責任者が関与した建物以外でのデータの改ざんが発覚」
となりました。
全国で3040件あるようですが、全ての不動産に対して今後疑惑の目が向けられてしまいます。
そして、ニュースの記事からの情報なので何とも言えませんが
「旭化成建材が、くい工事を施工いたしました、北海道発注物件につきまして、道は、独自の調査を進めている中で、くい打設時の電流計の記録に不自然な点が見受けられたことから、本日、元請け・下請け業者に確認した結果、くい31本のうち1本につきまして、旭化成建材が隣接工事のデータを流用した事実を認めたものでございます。」
と北海道の広報担当の人が発言したようです。
それについて旭化成建材は
「客観的に見て、データの転用があったと認めざるを得ない」
としたうえで、
「適正に施工しているので、安全性には問題ない」
と発言しています。

これはもう人間感情として信じられなくなっちゃうんですよね・・・・
今回のケースも北海道が独自に調査して、調べてみたらデータの改ざんがあった。
旭化成建材に問い詰めてみたら、データの改ざんを認めた、
でも安全性に問題はない?????

これはちょっとまずいと思います。
なぜなら今後旭化成建材が関わったマンションということがわかり、
旭化成建材が調査した結果安全でした。
そのようなマンションを売却するとします。
仮に不動産屋がお客さんから旭化成建材杭打ちのマンションの売却依頼を預かり、
お客さんに物件を紹介します。
営業「このマンションは大手が施工していて良いマンションです」
お客「この物件は欠陥とかないですよね」
営業「旭化成建材が杭打ちをしていますが、調査した結果安全との事です」
お客「え・・・・旭化成建材が杭を打ってるんですか・・・・・・」
営業「そうです、ですが立地も建物の質もクオリティー高いです」
お客「う~~~ん、怖いのでいらないです。見に行く必要もないです」

多少わかりやすいように、色々省いていますが、現場でお客さんに案内を薦める営業からすると
このような感じになる可能性が非常に高いです。
まず
「お客が見に行かなくなります」
お客が見に行かないと、売れるわけはありません。
どうすればよいかと言うと価格を下げるしかないんです。
つまり資産価値が下がります。

今後確実にかなり長くなりそうな問題になりますね。
旭化成建材が関わっているマンションを少しでも価値を上げたい場合は以前にも
書きましたが、第3者機関の杭打ち・地盤調査機関に依頼して調査してもらう以外に
ないのかな、と思います。
後はもう訴訟になりますよね。

その上更に難しくさせたのが25日のこの発言です。

建物に関わったすべての会社に責任 国交大臣

石井国土交通大臣は、問題の横浜市のマンションについて「売り主(三井不動産レジデンシャル)は住民に誠実に対応する責任、建設した元請け(三井住友建設)、下請け(日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材)にはしっかりした建築物を造る責任がある」と述べ、関連する全ての企業に責任があるとの考えを示した。
↑10月25日(日)読売新聞 から一部抜粋

この文章をそのまま理解すると
「杭打ちに問題があった物件は売り主(販売)、建設元請け(施工)、下請け全てに
責任がある」
と発言しています。
となると、今後新たな傾きなどの発覚があったマンションの売り主や施工会社も
責任を取らなくてはいけなくなる可能性が出てきました。

そうなると今後新たに賠償しなくてはいけない会社が出てくる可能性が高いです。
当然企業なので優秀な弁護士集団を抱えてはいます。
争うことを考えれば、賠償金額などは大幅に減らせる可能性が高いです。
ですが風評被害がおそらく尋常じゃないくらいあります。
(今回の三井不動産、旭化成建材のようになる)
その選択をすると今後の事業に響く、イメージは崩せない、落としどころはどこなのか?
と言う風になる可能性が高いかな、と思います。

あともう一つは宅建業法、と建設業法だと思います。
建設業法は正直知らないです。
宅建業法は知っていないといけないですね笑。宅建持ってますしね。
あまり知られていませんが、
「罰則」
があるんです。
重い処分だと
「免許取り消し」

「業務停止」
などがあります。
見てのとおりですが不動産業出来なくなるんです。
死活問題を超える問題です。
(なので皆下手な事はしないんです。私みたいにHPに不動産の説明を実名出して
書いている人少ないでしょ。危ないからやらないんです。ホント頭使うんですよ)
その免許を申請する先が大きい会社の場合は
「国土交通大臣」
になるんですね。
その国土交通大臣が
「全ての会社に責任がある」
と発言したんです。

簡単にですが、内容をまとめてみました。
考えれば考えるほど訳がわからなくなる問題です。
過去の不動産社会問題と1番違うのは
「倒産しないでしょう」
と皆が思っているところです。
旭化成、三井、三井住友、日立・・・・・
なんか学生の人気企業ランキングみたいですね笑。
上記の会社だったら
「お金あるから責任もって補償してくれるだろう」
と皆が思ってます。
不動産業者からすると
「責任はそれなりに取るが会社が傾かないほどの補償、その上会社のブランドイメージも維持したい」
と考えているはずです。

毎回書いてますが、今後どうなりますかね。
私も他人ごとではないので注意深く状況は追っています。
(中古マンション引き渡し後すぐに傾いたらどうするんだ?
旭化成建材の杭打ちは今後告知事項になるのか?)
今後この話題は時間あった時に詳しく書こうと思ってます。

さて非常に大変な問題になりましたが、やはり現実を受け止めて、前に進むしかないと思います。
辛い事書きますが、今回の旭化成建材に関わったマンションにお住まいの方は
「運が悪かった」
としか言いようがありません。
現在までの日本でのマンション売買において
「杭をお客が確認する」
という事項もありませんでしたし、その杭が正常なのかどうかの判断できる人も
いませんでした。
購入した方に罪は一切ありません。
ですが今後は現実を受け止めて、今出来る事やこれから起こることを想定して
考えて動かなくてはいけません。

私は甘い言葉は嫌いです。
その上あまり人に助けてもらうのも嫌いな人間です。
大変な事がおきたときはやはり
「現状を認識する」

「しっかりと落ち込む、感情を発散させる(人に迷惑にならない程度に)」

「今後起こるリスクを想定する」

「自分に何が出来るか考える」

「知識がない、という言い訳はやめて勉強する意識を持つ」

最近はすこしずつ書き方を変えています。
本来の私の考え方の1部です。
ちょっと厳しいかもしれませんが、諦めなければなにかは生まれますし、
現状を変える力にもなります。
過去の失敗は悔しいですし悲しいですが、認めて未来の成長の肥やしにしたほうが
精神的にも良いと思いますし、人としても成長できる気がします。

慰めになるかはわかりませんが、一つの意見として参考にして下さい。
全く自分の考えを押し付ける気はありませんしね。
そんなの嫌じゃないですか笑。

最後話の内容が少し変わってしまいましたが、
またしばらくするとマンション傾斜問題で新たな事がおそらく出てくる気がします。
また時間あるときに書きます。

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